ここでは、相続財産の一般的な評価方法について書いております。
※実際の手続き時には、他の要因によりことなる計算式になることもあります。
宅地の評価
路線価方式と倍率方式があります。
1.路線価方式
- 主に市街地にある宅地で使われます。
- 道路に面した1㎡当たりの土地の価格を路線価といいます。
- 宅地の面積×路線価=路線価方式の評価額
2.倍率方式
- 郊外や農村部で使われます。
- 固定資産税評価額に、国税庁が地域ごとに決めている倍率をかけて計算します。
家屋、建物の評価方法
家屋
- 固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額として使う事が出来ます。
2.建設中の家屋
- 相続が始まった時までに、家屋の建築の為に使った費用を出し、これに70%を掛ける「費用原価」の方法を使います。
- 未払いがある場合は、費用から引いて70%を掛けます。
マンションの評価方法
建物
- マンションの建物は、専有面積を基準歳、一戸建ての家屋と同じで、固定資産税評価額をそのまま使えます。
土地
- マンション全体の敷地の評価額×持ち分割合=土地の評価額
- そして建物の評価額+土地の評価額=マンションの評価額となります。
付属設備
- 給排水設備、電気、ガス、水道などの設備は、家屋の評価に含まれます。
- 家屋から独立した、門扉、塀、庭木、庭石、庭池などは、別途に評価します。
- 再建築費-経過年数に応じた減化額=門、塀などの評価額。
- 再調達費×70%=庭園設備などの評価額
借地権・借家権、貸宅地等の評価方法
借地件の場合
- 更地価格×借地権割合=借地権の評価格
- 借地権割合は、国税局が毎年定めていて、路線価図の路線価の数字の横にアルファベット(AからG)で表示され、90%から30%までの割合があります。
- 地域により異なるので、税務署で確認するとよいでしょう。
借家権
- 家屋の評価額×借家権割合=借家権の評価額
- 借家権割合も、国税局で定められています。
貸宅地の場合
- 更地価格―借地権評価額=貸宅地の評価額
- 貸宅地には、借地権や地上権があるので、地主であっても自由に利用できません。そのため、貸宅地になっている場合は、その評価額減額されるのです。
株式、預貯金など
上場株式の場合
- 相続開始日の終値
- 相続開始日を含むその月の終値の月平均額
- 相続開始日の前月の終値の月平均額
- 相続開始日の前々月の終値の月平均額
以上4つの価格の家、最も低い価格で評価されます。
取引相場のない株式の場合
- 気配相場のある株式の場合は、上場株式と同じですが、終値でなく、取引価格の月平均額を使います。
- 取引相場のない株式の場合は、その会社が、大会社か中会社か、子会社のいずれの規模か区別。そして、会社の規模により、同業種で公開されている上場企業の平均株価をベースにする方法、その会社の資産、負債を計算の基礎にする方法、これら2つの方法を併用、配当金の額から算出する方法の4つの方法がとられます。
- 計算はかなり難しいものなので、税務署や専門家と相談するほうが良いでしょう。
(普通貯金や通常貯金の場合)
- 相続開始日の残高が、そのままの評価格になります。
- 残高証明書は、銀行や、郵便局で発行してもらえます。
定期貯金や定額貯金
- 残高に相続開始日までについている利息を加えて評価額としますが、源泉徴収額は差し引きます。
(生命保険、年金など)
生命保険
- 相続財産でなく、相続人の固有財産とみなされます。
- 生命保険に対する課税については、扱いは異なり、みなし相続財産の扱いとされ、相続税の対象となります。
- 法定相続人が、生命保険金を受け取る場合、「500万円×相続人の数」が非課税となり、この額を超えたものが、課税対象となります。
郵便局や生命保険会社の個人年金
- 無期定期金の場合、「年間の受給額×15」が評価額です。
- 有期定期金の場合、「残存期間の受給額合計×残存期間に応じた評価の割合」で評価します。残存期間に応じた割合は、決められていて、5年以下の70%から35年超えの20%まで6段階に区分されています。
終身年金
- 受給者の年齢に応じた倍率を用いて「年間受給額×受給者の年齢の倍率」で計算します。
- 被保険者の死亡時に、被相続人がまだ給付条件を満たしていない場合は、「残存期間に応じた割合」を用います。